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20年ぶりのエースコンバットに寄せて エースコンバット7レビュー

本題に入る前にエースコンバット7のキャンペーンモード(ストーリーを追いながらミッションを遂行するモード)が賛否両論の出来になっていることについて。

 

低評価プレイヤーからはストーリー、無人機、ポイントや時間制限のノルマがキツイ、天候等ミッション自体の内容など、様々な点が不満点として挙げられている。
ゲーム上の要素を問題だと感じるか、ゲーム性の一部だと感じるかはプレイヤー次第であるし、私自身も上記の要素のうちいくつかはむしろプラスだと思っているものすらある。

 

しかし、難易度設定に関しては失敗だと思う。

 

キャンペーンを難易度ノーマルでクリアしたときの感想は「ストレスフルで爽快感に欠ける。10点満点で4」くらいだったのだが、どのミッションが駄目だったか振り返ってみると実は詰まっていたミッションは5~6個でしかなかった。
キャンペーンモードは全20ミッションなので四分の一くらいの割合である。

 

心象としては半分以上クソゲーやらされていた感覚だったのに、これはどういうことか。
理由は単純で詰まっていたミッションばかりリトライするので、総プレイ時間における問題ミッションの割合が50%を超えていたのだ。

 

ひょっとすると低評価プレイヤーも苦手なミッションばかりプレイ時間が伸びて、印象が悪くなっているのではないか。

特にシリーズのプレイヤーはとりあえずノーマル難易度でキャンペーン一周、という流れが多いと思うので、そこは不格好でもクリアさせておけば良かったのでは。
それではヌルいというプレイヤーにはハード以上の難易度かSランク取得条件で応えるのが適当だったろう。

 

 


なぜナンバリングタイトルが12年も出なかったのか


エースコンバットはどういうゲームか、その醍醐味は何かと聞かれたらどう答えるだろうか。

私は7以前には3しかプレイしていないが、その3のキャラクター アビサル・ディジョンの台詞にこんなものがある。

 

「推力に頼るな。空力を活かせ」
「勘ではなく、HUDからマニューバを読み取れ」

 

この台詞はエースコンバットの魅力を端的に表したものだと思う。

 

敵機との距離、進行方向、自機の高度・速度を把握して近づき、接敵すれば目視とレーダーを駆使して敵機の挙動を判断。
ロックオンするべく加速・減速、上昇・下降、右旋回・左旋回からふさわしい挙動を選択する。
背後を取ったらミサイルが当たる状況を維持して二発は打ち込むために更に進行方向、相対速度、相対高度を挙動でコントロールする。
ミサイル警告があってもレーダーから飛来方向を判断し適切なタイミングと回避行動を取る。

 

これらを「指が勝手に動く」レベルで行えるようになると、ものすごくエースしてる感が出る。

つまりエースコンバットとは、重力のある3D空間を飛ぶ自機を敵機・敵ミサイルに対し的確にコントロールする、そのためにひたすらにパラメータとインジケータを読むゲームなのだ。

 

 

でもこれって3の頃から全く変わってないんだよな。


エースコンバットのゲーム性はPS1時代にとっくに完成されていて、7でも全く失われていないが、大きくアップデートもされていないと私は思う。

しかもこのレーダーやHUD表示に集中するプレイは、ゲーム機の画質向上の恩恵を受けづらい。
PS4画質になって感動したかといえばそんなことは無く、「3とやってること変わんねえな」というのが率直な感想である。

 

 

ただ、冷静に振り返れば3よりも地形にミサイルを阻まれることが多くなったと思うので、レーダーに映らない地形を目視で把握して侵入方向も計算に入れないといけなくなっているなとは感じる。
またヨーイングを積極的に使わせようとしているのかなと思わないこともない。
ひょっとするとあのロックオン切り替えがお馬鹿なのもヨーイングで微調整しろよというメッセージなのかもしれない。
それらが楽しいかどうかというのは別問題ではあるが。

 

それを踏まえてのベストミッションはmission7「無慈悲な摂理」で、落雷でレーダー・HUDが効かなくなるので自機・敵機の状態を頭の中できちんと把握しておく必要があるし、ミハイが渓谷に飛び込むので、(上がってくるまで待ってもいいのだが)追っていって上記敵機と自機の関係をコントロールすることに加えて地形を縫いながら飛ぶのが上手くいくと脳内麻薬出ますね。

 

 

ただ全体を通してみると「つまるところ戦闘機はロックオンしてミサイル撃つか近付いて機銃を撃つしか出来ない」のでオフラインゲーで新作を出し続けるのはキツいだろうなと。
そりゃナンバリングタイトルが12年も飛ぶわけだ。

 

正直7のキャンペーンの続編は買わないと思う。幸いVRの出来がいいらしいので全編VRでできる環境が整ってたら買うかも。

 

 

 

余談:ストーリーについて(ネタバレ)

ここはかなり評価が難しいんだけど、終盤のあの事態も含めて、悪い意味で敵味方関係ない。
連帯ではなく分断だし、かといって独立独歩ではなく混迷にすぎない。
誰かと誰かの関係性に集約されもしない。
ミハイも、その孫娘たちも、王女も、シュローデルも、スクラップクイーンも、ハーリングさえも自分の思いだけで行動しているように見える。
ワイズマンとカウントは若干違うけど墜されるしね。

脚本とゲームプレイが乖離してると感じる。